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低気圧がきつい。
体が重く、やる気も出ない。
起き抜けにモカマタリという豆でコーヒーを入れる。口に入れた瞬間に酸味がくるが、すぐに去る。後味はまろやかで飲みやすい。
Bill Evans-Time Remembered(初聴)
Polyphia-NLND
を聴く。
Polyphiaはギターからアウラを剥奪した、天才であることを、再確認する。
低気圧のせいでお夕飯を作るのも億劫なので、開き直って映画「タクシー運転手」を見る。
1980年に韓国で起こった民主化運動を元にした物語。
自分は、理不尽な暴力に対する恐怖を常に持っており、軍と民衆の対立を切り取ったこの作品はまさにそれを刺激するものだったため、非常に良い時間だった。
ところで、人生で初めて見た「理不尽な暴力」を撮った映像作品は、ジブリのアニメ映画「火垂るの墓」だったと思う。
アニメは日本の文化ということにはなっているが、その実アメリカ映画へのコンプレックスを根幹にしているわけで、それによって戦争が描かれた「火垂るの墓」はまさに戦後日本を象徴するものだと、今思う。
韓国は市民による民主化を果たしたわけだが、それが世界に認められている実写映画によって描かれるのも、まさに象徴的であると思われる。
また、この映画を見るきっかけは東浩紀さんの「哲学の誤配」中で紹介されていたからで、偶然性とは人間性に直結するものだという文意を、身をもって体験することとなった。
全体的に調子の出ない日だった。雨の日やその前日は、いつもそうだ。
自分の中に、自分ではないものを飼っているような状況は16歳から続いていて、自己責任が推奨されるこのご時世に、一般的な成人男性として生きるのがとても窮屈だ。
マイノリティの人権配慮が叫ばれて久しいわけだが、結局それも全てを商品化してしまう資本主義に駆動された運動なので、救われない。
細々と今を生きるしかないのだと、雨の日はいつも思う。