大四の落書き帳

基本的にフィジカルを購入するくらい好きな音楽を紹介しています。

9/14

低気圧がきつい。

体が重く、やる気も出ない。

 

起き抜けにモカマタリという豆でコーヒーを入れる。口に入れた瞬間に酸味がくるが、すぐに去る。後味はまろやかで飲みやすい。

 

Bill Evans-Time Remembered(初聴)

Polyphia-NLND

を聴く。

Polyphiaはギターからアウラを剥奪した、天才であることを、再確認する。

 

低気圧のせいでお夕飯を作るのも億劫なので、開き直って映画「タクシー運転手」を見る。

1980年に韓国で起こった民主化運動を元にした物語。

自分は、理不尽な暴力に対する恐怖を常に持っており、軍と民衆の対立を切り取ったこの作品はまさにそれを刺激するものだったため、非常に良い時間だった。

 

ところで、人生で初めて見た「理不尽な暴力」を撮った映像作品は、ジブリのアニメ映画「火垂るの墓」だったと思う。

アニメは日本の文化ということにはなっているが、その実アメリカ映画へのコンプレックスを根幹にしているわけで、それによって戦争が描かれた「火垂るの墓」はまさに戦後日本を象徴するものだと、今思う。

韓国は市民による民主化を果たしたわけだが、それが世界に認められている実写映画によって描かれるのも、まさに象徴的であると思われる。

 

また、この映画を見るきっかけは東浩紀さんの「哲学の誤配」中で紹介されていたからで、偶然性とは人間性に直結するものだという文意を、身をもって体験することとなった。

 

 

全体的に調子の出ない日だった。雨の日やその前日は、いつもそうだ。

自分の中に、自分ではないものを飼っているような状況は16歳から続いていて、自己責任が推奨されるこのご時世に、一般的な成人男性として生きるのがとても窮屈だ。

マイノリティの人権配慮が叫ばれて久しいわけだが、結局それも全てを商品化してしまう資本主義に駆動された運動なので、救われない。

 

細々と今を生きるしかないのだと、雨の日はいつも思う。

 

9/13

久しぶりに程よく晴れた、秋の入口のような日

 

Art School-Anesthesia(初聴)

凛として時雨-感覚UFO

Polyphia-NLND

を聴いた。

 

どれも今の気分にマッチしていて、それぞれ2周ずつ聴いた(Polyphiaは毎秋ライブを見ていたから秋の気分なのかもしれない)。

やはり、音楽を聴く時は自分の心の状態に左右されることになる。

 

とても楽しみにしていたライブを見た帰りの電車で、読みかけていた「彼岸花が咲く島」を読み終わった。

芥川賞を受賞した2021年の小説で、ジョージオーウェルの「1984年」のオマージュということで買ってみたが、正直全然好きではなかった。

 

彼岸花が咲く島」は、主人公が原因不明の理不尽な状況を被った状態が続くが、最後の最後にその種明かしがされる。

舞台設定が現実のパロディ(コロナ禍っぽい記述もある)であることもあいまり、わかりやすくイメージしやすい文なのかもしれない。

 

現実には、種明かしがされない理不尽の方が多いし、そもそも「1984年」は、そういう種明かしを全て煙に巻いてしまう小説だったはず。

 

シンエヴァンゲリオンも同じ理由で好きではなかったし、考察動画とかのノリも全然だった。陰謀論を信じるのと話は一緒だ。

 

人として生きたい。

 

 

Bludvera-Terrorform(2012)

f:id:yukiya639:20201017202559j:image

 

 

イギリス産スラッシュメタルの1stアルバム(ep?)。

おそらく今は活動してないと思われる。

 

知ったきっかけは、前述したCryptic ShiftがYouTubeに公開してたラジオ(?)から。

https://youtu.be/eMqXlwBamxI

 

影響元として挙げられていたので聞いてみたらかっこよかった。

が、そんなに聴いてる人はいないみたい…

f:id:yukiya639:20201017203116p:image

そもそも上にあげたラジオでさえ再生回数94回とかだしな。

 

正直スラッシュメタルは吐き捨てがそんなに好きじゃないから今までかなり避けていて、まともなレビューはできないんだけど、

直感的にかっこいいのに、世の記憶に残っていないバンドをブログに書き記すことは意義深いことだと思うので、久しぶりに筆を取った次第。

 

内容自体は新世代スラッシュメタル(?)という感じで、演奏はかなりうまい。プロダクションもしっかりしている。

僕が苦手としている吐き捨ても、癖がそこまでない感じで僕にとっていい感じでした。そもそも結構上手い。

肝心のギターリフは、ストレートにスラッシュしつつ、ところどころグニャグニャした奇怪さが混じる。Cryptic Shiftが影響を受けたのも納得のグニャグニャです。

あと、何故だかシンガロングが多くて青臭さも感じるね笑

全部好みなんですけど、3曲目中盤のテンポチェンジはあがった。

 

 

かっこいいのに全然知られていないバンドがまだまだこの世にいることをわからされた経験でした。

Cryptic Shift,Havok,Lazarus A.D.好きな人に是非。

 

 

追記(20201022)

BludveraのCDをようやく見つけたので購入。

diskunionにすら売っていなくて、かなり苦労した。

CDの盤面が、遊戯王のレアカード加工みたいになっててダサかっこいい

f:id:yukiya639:20201022115633j:image

メンバーの着てるバンドTシャツは

Death,Morbid Angelとかで、初期デスメタルの影響はやはりあるみたいです。

 

 

 

Cryptic Shift - Visitations From Enceladus(2020)

f:id:yukiya639:20200816194959j:image

 

2020年に発売されたプログレデスの中で一番良い。

今年一番聞いているのでレビュー。

 

イギリスの4ピースプログレデスバンド。

Blood Harvest Recordsから出た1stアルバム。

epも出していたみたいだけど、今作から知名度を爆上げしている。epではGorguts的奇妙さがマシマシな感じ?だった。

 

内容的にはSF的世界観を含んだオールドスクールプログレデスメタル

SFデスメタルはここ最近割と流行り目で、bandcampでもよく見かけると思う。2019年はお腐り系デスメタルが流行っていたけど、2020年はSFデスメタルの年かな。

 

Cryptic Shiftの凄いところは、Gorguts的奇妙さと、Vektorの展開力・攻撃力をミックスさせてかっこよくするというバランス感覚だと思う。

きちんと耳に残るギターリフというのはBlood Incantationも感じるところではある、SFも共通してるし。何気にアルバムが4曲だけで、20分の大曲が入るのも共通点か。

もちろんPestilenceの影響も感じる。

これらの影響を感じつつ、オリジナリティがあるのがこのバンドの魅力。スラッシーな要素が他のデスメタルと差別化できているところなのかな。

 

ちなみに、ベースはジャコパストリアスリスペクトなベースを使っているみたい。デスメタルでこれは謎なベースだね。ちゃんとパワーある音出してるの謎。

 

ちなみにちなみに、メンバーの一部は別でドゥームデスメタルバンド、Slimelordをやっているみたい。Spectral VoiceをやってるBlood Incantationとの共通点多すぎるだろ!

 

ライブ見たいなあ。Vector復活したし、この手のSF系が増えて来るんだろうな。

Blotted Science-The Machinations of Dimentia(2007)

f:id:yukiya639:20200813195551j:image

 

またメタルのレビューになってしまうが、

最近こればかり聞いていないので仕方がない。

 

3ピースインストデスメタル、Blotted Science。

ギターはWatchtowerのRon Jarzombek

ベースはCannibal CorpseのAlex Webster

ドラムはCharlie Zeleny(彼は知らなかった)

夢のコラボバンド。

 

楽曲はデスメタルなリズム隊の上に、Watchtower仕込みの奇妙なギターリはがのっかる。

 

まず、ギターリフ自体はスラッシュメタルであるWatchtowerとあまり変わりはないのだが、重めの音楽性になってもものすごくかっこいいし相変わらず奇妙。如何に優れたリフメイカーがわかる。

また、ギターメロもメタルとフュージョンの間をいく独特なものだが、最近流行のものっぽいわけでもなく、あつくなれるほうのやつである。素直にかっこいい。

個人的にスラッシュメタルのボーカルが苦手なので、インストでこのリフが聞けるのもポイント高い(Watchtowerのボーカルはまだ苦手ではないほうだけれど)

 

リズム隊もめちゃくちゃ目立つし、やはりかなりうまい。個人的に驚いたのはAlex Websterのベース。

Cannibal Corpseだと音楽性からくるミキシング等々で、腐り気味のベース音ではあるが、本作ではモダンでラウドなベース音である。

また、演奏自体もテクニカルでモダンなかっちりさでまとまっており、こんなのも弾けたのかと驚き。

もちろんかなりの実力者であることは知っていたが、引き出しの多さに感銘を受けた。

 

ベースの印象が強すぎてドラムをあまり語れないが(申し訳ない)、テクニカルなフレーズをかっちりとしたグルーヴで刻んでおり、人外である。

そういえば、ドラマーは南米の多弦ギタリストFelix Martinの作品に参加したことがあるみたい。こんなのも叩けるのか、世の中にはすごいドラマーがまだまだたくさんいるんだな。

 

ギターリフは奇怪であるがかなり耳に残るので、飽きもしなくアルバムとしての聞き応えは保証できる。

Ron Jarzombekは曲を作るときに数学的なことを中心に考えるらしいけど、確かに一音ずつ増えてく展開とかもあり、らしさがあった。それでもキャッチーさは損なわれない。すごいバランス感覚。

 

WatchtowerはDream Theaterの前座を務めたことがあるみたいだが、DTと違ってメタルヒストリーを継いでないところがあるような気がする。なんとなく、断絶がある。Meshuggahも断絶なのかな、難しいところだが。

僕はそういうメタルが好きなので、Watchtowerも例に漏れず好きになったのだが、いかんせん作品が少ないので、、、今作に出会えてよかった。

 

Watchtower好きな人とか、ギターインストが好きな人は楽しめると思う。ここ最近流行りのギターインストと違ってラウドなので、熱くなれる。

 

 

 

Sadist-Tribe(1996)

f:id:yukiya639:20200714185956j:image

 

イタリアのプログレッシブデスメタル

Sadisの2ndアルバム。

 

色々なところでこのアルバムがオススメされていたので聞いてみたら、どハマり。

初期プログレデスといえば、Cynic,Death,Atheist,Pnstilence等々あるが、このバンドはどれとも違う個性を持っていると思われる。

 

そもそも、プログレデスバンドがインタビュー等で影響元を聞かれたとき

必ずプログレバンドとデスメタルバンドの2ジャンルから挙げる(と思う)。

で、挙げられるデスメタルバンドはMorbid Angelとかで、

プログレバンドで挙げられるのはKing Crimson、Yesとかだと思う。

 

話をSadistに戻すと

彼らからはKing Crimsonの香りはあまりしない。

どちらかというとEmerson Lake & Palmerの香りがぷんぷんする。

 

Emerson Lakeのオルガン使いやコード理論はそのままに、牧歌的な部分が狂暴化しちゃったみたいな感じだ。

普通ギターフレーズのところがオルガンだったり、名前のわからない笛が奏でる不気味な旋律が個性的。

ボーカル自体はスラッシュ上がりらしく、いわゆるデスメタルって声ではないが、楽器隊に良く合った声だと思う。

ベースはプログレですらしくフレットレスベースで、フレットレスである強みを最大限に活かした音を出しまくってて、聞き応えがある。

ギターはデスメタル然としたリフを奏でているが、ギターソロはかなりの技巧派で正確なシュレッドがこれでもかとばかりに入れられている。

 

彼らのフォロワーはいないみたいなことがいろんなところに書かれているけど、確かになあと思う。King Crimsonプログレデスの大元ってのは納得できるけど、Emerson Lakeの狂暴化は想像つかないもんね。

 

とっちらかってしまったが、プログレデス好きな人におすすめです。かなりの個性は。

プログレ有名どころ知っててデスメタル好きですみたいな人にもちょっとおすすめ。

 

 

 

 

 

Stella Donnelly-Beware Of The Dogs(2019)

f:id:yukiya639:20200621140656j:plain

Beware Of The Dogs

 

久しぶりにメタル意外にはまったので、書く。

オーストラリアのシンガーソングライターStella Donnellyによる1stアルバム。

作品はこれ以前にもあるが、ep扱いらしい(ちなみにepの名前は『Thrush Metal』笑)。

 

聞き始めたきっかけは、少々複雑なのだが、

舐達麻の『Space Ball』という曲のビートのサンプリング元が、

このアルバムの2曲目Mosquitoだったから。

ヒップホップはサンプリング元をたどるっていう楽しみ方もあっていいね。

 

アルバムの内容としては、メロウなギターの上にStellaの優しい声が乗っかる曲が淡々と続く。

今風に言えば、「チルい」。

聞き心地が良く、攻撃的な要素はない。僕がよく聞く激しい音楽みたいな、聴く者の心を激しく揺さぶり、踊らせるような音楽的な何かはあまりない。Lo-Fi HipHopしかり最近の流行りってそんな感じな気がする。

 

だが、Stella Donnellyは一味違う。

彼女の歌詞は非常に「攻撃的」だ。

歌詞の中に聞く者の心をゆさぶる何かがある。

英語の母語話者じゃなきゃこの感覚をダイレクトに受けることはできないだろうけど、歌詞カードを後追いするだけでも、この感覚は分かると思う。

 

代表曲のBoys will Boysは、上述のとおり優しい曲調なのだけれど、歌詞はStellaの友達がレイプされた体験を昇華したものだ。

到底聞き流すことはできない。

 

歌詞を聴く習慣が全くなく、これも曲調からはまったのだけれど、ネットで歌詞をたまたま見ていたら印象的だった。だから歌詞含めて聞き始めたらドはまりした。

これから、他のアーティストの歌詞もちゃんと聞こうかな。。。

 

チルが求められる中で、歌詞に攻撃的というか、聞き流せない要素があるのが新鮮でした。

曲調だけで言えばあいみょんとか好きな人、好きなんじゃないかな。

 

去年フジロックと単独の2回も来日してたみたいだし、今ライブが全く無い状況も考慮すると、もっと早くから知っていたかったな。。。

 

そういえば最近話題の、医学部入試における年齢差別の当事者のラップソングも、

チルの上に攻撃的な歌詞がのっかっていたな。これからは、こんな感じになるのかしら。

youtu.be