Revocation-The Outer Ones(2018)
こんにちは。
RevocationのThe Outer Onesを振り返る。
元々Revocationの存在は知っており、テクニカルかつ不可思議なデスラッシュをやっているなという印象があった。スラッシーな曲でリフがかっこいい曲は好きだったけど、そこまではまらなかった。
今作は、まずジャケットからかなりグロい(?)というか、デスメタル然としており、内容も他のアルバムに比べて格段に重くなっている。
もちろんスラッシーな展開はあるのだけれど、全体として邪悪さが増しており、さながら後期Deathのよう。
ということで、後期Deathが大好きな筆者はドはまりしましたとさ。
Deathの子孫たちの例にもれず、バンド自体はギターヴォーカルDavidの実質ワンマンバンドになっており、安定して在籍しているメンバーはバッキングギター&ボーカルだけか。
Davidはギター講師も営んでいるので、ジャズ由来の不思議なコード遣いや、他では聞けないオリジナリティの高いギターソロはこのバンドの持ち味だと感じる。
今年の2月に来日(コロナでライブがいろいろ中止になる直前!!)してたが、DavidはDeathやCannibal CorpseのTシャツ着てたし古いデスメタル好きなんだろうな。ライブめちゃくちゃ演奏上手かったし、咆哮もかっこよかった。目立ってないけどバッキングギターの人がかなりバンドを支えているなとも思いましたとさ。
とっ散らかってしまったけど、要は後期Deathが好きな人にはお勧めということです。
僕はRevocationから後期Deathの良さを再確認し、そこからPestilence、Atheistと行った。最近だとCryptic Shiftとかこの間紹介したHemotoxinとか好きだ。
Deathの影響が色濃いバンドって、「演奏が上手い」、「複雑な構成をうまくまとめられる作曲能力」、「メンバーに恵まれる」とか色々必要条件が多すぎてバンドが少ないけど、逆にすぐdigれていいバンドが発見しやすいのが良いね。
Hemotoxin-Biological Enslavement(2016)
こんにちは
Hemotoxinが2016年に発表した2ndアルバム
今年の春にはめでたく3rdアルバムも出している。
Spotify上で聞いている人も100人弱から300人まで増えていて、良かった(?)。
内容としては、4th以降のいわゆる「後期Death」へのあこがれが感じられる、というかもはや完全に後期Deathと言わざるを得ない内容である、プログレッシブデス(スラッシュ)メタルといったところ。
変拍子は少なめだが、Deathの影響を感じさせつつしっかりキャッチ―なリフが素晴らしい。途中で出てくる若干の宇宙感がある高音ギターリフは大好物。
ヴォーカルのデスヴォイスはDeathより今っぽいのもポイント高い。
要所要所でブラストを使ったりと、Deathの焼き直しにとらわれないところもいいと思った。
ただ、演奏が多少荒いところが難点…1曲目とか割と気になった。が、かっこいいことには違いない。
9曲34分とこの手のジャンルにしてはかなりコンパクトにまとめられており、プログレデス/スラッシュ入りたいけど、長いのはまだ慣れていない人にはいいのではないだろうか。
DeathやObscura、Revocationとか好きな人にお勧めしたいところ。
逆に初期Deathが好きなら、Relapse Records所属のGruesomeとか最近はまったのでおすすめ。
Napoleon-Newborn Mind(2016)
こんにちは
概要
イギリスの叙情系ハードコアバンド
Napoleonの1stアルバムであるNewborn Mind
専任スクリームボーカル、ギター、ベース、ドラムの4ピースバンド。
この手のバンドにしては珍しく、ギターが一本。
2018年終わりくらいに2nd出したけど、その数か月後に解散してしまったバンド。解散があまりにも悲しくて、しばらくこれしか聞けなくなった、それくらい好きなバンド。
知ったきっかけは、youtubeで適当にdigってたらpvが出てきたからだったと思う。
この時とアルバムとじゃボーカルが違う。アルバムのボーカルのほうが、スクリームが上手いし、クリーンボーカルも出せる職人。
聞いてもらえばわかると思うが、ジャンルは確実にCounterparts系の叙情系ハードコア。しかし音像がDjentだし、リフも他の叙情系に比べたらものすごいテクニカル。これがこのバンドの特徴だと思う。
めちゃくちゃ有名だと思ってたら、spotifyの月間再生リスナー数が2万人とかで、びびり倒した。解散しちゃったら仕方ない。
アルバム紹介
Basick Recordsからリリース。Misery Signalsとかいるところ。
10曲36分、最初と最後の曲がイントロ・アウトロ扱いなので、割とコンパクトな内容。
Track.1が始まった瞬間は、「あぁ、Djentね、はいはい」となるんですけど、すぐに叙情系ハードコアが顔をだす。
Track.6は、おしゃれ系ミドルテンポって感じだが、それ以外はとにかく疾走of疾走。途中途中で緩急つけるためのパートとかはプログレッシブさを感じるけど、普段からこういうの聞いてて慣れっこだし、はさみ方も違和感なくていい。
ボーカルは地声が混じったいわゆる’叙情系’で叫びつつ、要所要所でクリーンを出す感じ。もちろんスクリームはめちゃくちゃうまいし、クリーンもかなりの本格的。クリーンボーカルを使うパートの挟み込み方も考えられている感じで、サビでわざとらしく歌う感じじゃなくて、Erraみたいに疾走パートでも歌う感じが素敵。
ギターは、前述の通り、叙情系かつテクニカルなフレーズで楽曲を彩ってる。めちゃくちゃうまいね。まじでこのバンドはギターが本当にいい。Djent好きな人から叙情系好きな人まで納得させられるうまさだし、配分の仕方もうまい。あくまでDjentはアクセントって感じだし。
ベードラは、疾走パートではもちろん疾走しつつ、ところどころチャグしつつと、あまり目立たないけど、やっぱり技術力はすごいと思う。特にドラムはちゃんと激烈。
まとめ
叙情系好きだし、Djentやプログレッシブメタルコアが好きな僕からしたらかなりのジャストミート。こういうバンドってそうそういないんじゃないかな、いたら教えてほしい。
たしかにGraupelのTowpathとか、Earthists.のmemento moriとか、テクニカルな音像で叙情系の疾走を見せる曲は国内のメタルコアにもあるけど、あくまでアルバムのアクセント的な曲で、全部がこういう曲じゃないわけで。
Invent, AnimateとかThe AftermaigeとかErraとかの、Tragic Hero Records系のポストハードコアの影響が見えるプログレメタルコアはあるんだけど、ここまで叙情系なわけでもないし。
そう考えると、ここまで叙情系とプログレメタルコアを違和感なくミックスさせたNapoleonってやっぱりすごいなと思う。
アルバムのインストバージョンが出されてるのもプログレメタルコアならではですよね。
2ndは今までの叙情系フレーズは顔を出しつつも、PolyphiaとかのおしゃれDjentインストをミックスさせた、疾走なしの大人なアルバムになっちゃって、少し悲しかった。スクリームボーカルの違和感が半端ないんだよね。インストverで聞くと、いいのかもしれない。
解散後は、ギターはWaveyというソロプロジェクトをやっているみたい。
完全におしゃれDjentインスト。解散の理由もわかる気がする。まじでうまいもん。
Waveyは現在活動中みたいで、Radar Festivalにも出るみたい。
ヘッドライナーのDirty Loops以外、全部プログメタル系なの謎だな。
I Am Abomination-Passion of the Heist Ⅱ(2020)
連日時間があるので、たくさん音楽(主にデスメタルとスラッシュメタルの中間あたり)を聞いている。
たくさん聞くと、好みが見つかったり、見つからなかったり…出会いって感じだ。
こちらは、プログメタル界隈待望の新譜
I Am AbominationのPassion of the Heist Ⅱ
アメリカのプログレッシブメタルバンド(プロジェクト?)の2nd(?)アルバム。
知ったきっかけは、1年前くらいに僕の大好きなメタルコアバンドOceans Ate Alaska、のドラマーChris Turnerのドラムプレイ動画をYoutubeで見ていたところ、新しい動画が出ていてチェックしたから。
面白いプロジェクトだと思ったけど、そのまま放置していたら1年たって新譜が出るとなって、メンツをチェックしたら
ボーカルが元Attack Attack!!だったので驚き。そのまま旧譜をチェックした。
カニの時じゃくて、最後の方のAAのメンバー。クリーンボーカルがとっても「エモ」い。The ポストハードコアなボーカル。
ギターかつブレインのNick SampsonはAsking Alexandriaの3rd、Born of Osirisの4th、Polyphiaをプロデュースした凄腕マン。
旧譜であるLet the Future Tell the Truthは、一聴したときはProtest the Heroをなぜだか思い出した。あんま疾走しないのに。
元Attack Attack!!ということでスクリームを期待していたが、クリーンに絞ったみたいでそこは多少驚いたけど、メタルコアのリズムをフックにしつつプログメタル由来の展開力で感動的な曲が多く、自分好みでグッドなアルバムだった。
メンバーは、Between the Buried and Me,Periphery,Necrophagist,Protest the Heroからの影響を強く受けているらしいが、納得の内容だった。
肝心の今作は、上述のとおりサポートドラムにOceans Ate AlaskaのChris Turner、Featuringに
Track.4ではErraのJesse,JT
Track.9ではPolyphiaのTim,Scott
Track.11ではShadow of IntentのBen Duerr
を迎えた豪華作。
一聴した感じ、前作と比べてピロピロ等の勢いが減衰して、全体としてグルーヴや展開で聞かせるアルバムだなという印象。
Peripheryの3rdを感じた。物足りない人もいるのかもしれないが、僕はPeriphery Ⅲがとても好きなので違和感なく聞けた。
ギターはもちろんめちゃくちゃうまいし、ちょくちょくあるピロピロフレーズもダークな感じでグッド。イントロのフレーズが印象的な曲が多かったと思う。
ボーカルは変わらず「エモ」くて、良い。
ドラムのChrisのバカテクは全体としていかんなく発揮されていてグッド。OAAに比べてめちゃくちゃさは鳴りを潜めているけど、アルバムを通してのグルーヴが一貫していてさすがの実力だし、静かなパートでも子気味良いフィルやフレーズ等のChris節がさく裂していて、オリジナルさが際立つ。
Track.9のPolyphiaは、一昔前のPolyphia。最近のローゲインを期待していると肩透かしを食らうかもしれない。ピロピロしているPolyphiaは、これはこれで新鮮。
他のFeaturingもとても良かった。特にBen Duerrはえぐくてかっこよかった。
繰り返しになるけど、全体としてPeriphery Ⅲっぽいなというのが正直な感想。ボーカルの清涼感とかも共通するところがあるしね。
聞かせるプログメタルコアだった。お気に入りは先行公開のTrack.3とTrack11かな。Track.3のイントロは流石のオリジナルすぎてあがり。Track.11はBenとの絡みが良すぎた。清涼感のある曲から、地獄みたいな曲まであって幅が広くて飽きなかった。ギターソロでアルバムを締めくくるのもかっこいい。
Periphery好きな人におすすめしたい盤。モダンなプログメタルコア好きな人なら絶対聞ける。
My Ticket Home-Strangers Only(2013)
久しぶりの投稿
アメリカの4ピースバンド、My Ticket Homeの2ndアルバム。
大手のRise Recordsから。2017年に出した3rdはSpinefarm Recordsからとなっており、少々悲しいところ。
メンバーは専任ギター、ドラムと、クリーンを兼任するギター、そしてスクリームボーカル&ベースの4ピース。
内容としては、オーソドックスなニューメタルに2010年付近のメタルコアのエッセンスを混ぜ合わせた感じか。Deftones、Slipknotとかその他大勢の大物ニューメタル直系といっってもいいかもしれない。1990年代の音楽が好きなら結構はまると思う。
代表曲であるHot Soapを聞くとDeftonesを思い起こさせるが、楽曲ごとに幅があり飽きさせないところが良い。1曲目冒頭なんてSlipknotのPeople=Shitを思い起こさせる。
フロントマンであるベースボーカルのスクリームはマッチョで勢いがあり、それだけで踊れてしまう。
ギターボーカルのクリーンがフックとして効果的に作用しているのもよい。
また、往年のニューメタルと違ってベースがファットなところも特筆すべきか。
ニューメタルのベースと言えば、ドンシャリサウンドが基本で音源じゃギターに埋もれてしまうのが常(ライブだとちゃんと聞こえるが)なところだが、このバンドはちゃんと聞こえるため、リフの肉付きが格段に違うところが良い。ここが結構ハードコアっぽいところではある。
一応裏でなってるギターもリフ一辺倒ではなく、空間系を駆使したりワウペダルを使ったりと結構こっているのも特徴か。
digったきっかけはAudiotree Liveから
スタジオライブチャンネルとしては古株であり、幅広いアーティストが出演しているのでチャンネル登録をお勧めする。逆にメタルとかハードコアは全然出ていない。日本だとtricotが出たのが記憶に新しい。
1stアルバムとかは割とRise Records系メタルコアって感じだった。
こっちのほうが再生数多くて、100万回再生とか。
いや絶対ニューメタル路線のほうが個性的でかっこいいだろ。
3rdアルバムはニューメタル路線を維持しつつDeftonesみが強めになっていた気がする。これ発売したとき、確かタワレコ新宿店のHR/HMコーナーでポップアップが作られていて、びっくりした記憶がある。あそこ、「良いわりに売れてないバンド」のセレクトのセンスが結構ある気がする。
以上、久しぶりの投稿でした。
近年のメタルコアがニューメタルに接近しつつアップデートされてる(Wage War,Polarisとかニューメタルコア勢、違う路線だけどBMTHとか)が、ニューメタル直系なのはこのバンドくらいなんじゃないでしょうか。Of Mice& MenのCold Worldあたりが好きな人にも刺さると思います。
Evan Brewer-Alone(2011)
ベーシストEvan Brewerによる1stアルバム。
Sumerian Recordsからリリース。
Sumerian Recordsといえば、Periphery(現在は自主レーベルに所属),Veil of MayaやAnimals as Leaders等のテクニカルでプログレッシブなメタルを抱えているレーベルとして有名だと思うが、Evan Brewerはそこに所属する唯一のソロベーシスト。
ソロベーシストが何故Sumerian Recordsに?となるが、
実は彼、所属していたバンドの経歴がすごくて
・Reflux(Animals as LeadersのギタリストTosin Abasiが、昔やっていたメタルバンド)
・The Faceless(現在Sumerian Recordsに所属しているテクニカルデスメタルバンド。メンバーの脱退加入の激しさでも有名かもしれない)
・Entheos(元Animals as Leaders等のメンバーで結成されたプログレッシブデスメタルバンド。ボーカルは、Veil of Mayaのオーディションに参加したことがある。ボーカルによるVoMカバー動画→
)
と、テクニカルなメタルバンドに所属してきた異色の経歴の持ち主。
2019年までEntheosに所属した後、現在はソロに戻ったみたい。
と、ここまで見てきた通りテクニカルなベーシストであるので、Sumerian Recordsに所属してても不思議じゃないソロベーシストである。
肝心なアルバムの内容であるが、普通のソロベース作品。メタルの欠片もないので、聞く人を選ばない作品であると言える。
基本的に、ギターやシンセ等の上物を使わず、ソロベースで進行していく。たまにドラムビートが登場するが味付け程度。文字通りソロベース作品。
Victor Wooten等のような、ハイミッドが強調されたスラップベースや指弾きでテクニカルなフレーズが繰り返されるので、一聴した感じ余り目新しいところはないように感じるかもしれないが、リズムの正確さや手数の多さはメタルっぽいなといった感じ。
たまにそれこそThe Faceless等のテクデスを思い起こさせるコード進行を使ったりするところは、この手のソロベーシストにはない面白みである。繰り返しになるが、うるさくはない。不気味な感じ。
また、途中で不気味なフレーズをフレットレスベースを使って弾くのも、テクデスっぽさがありやはり新鮮。フレットレスベースというとジャズなどで使われメタルでは全く使われないイメージがあるが、テクデス、プログレデスではかなり使われる(ぱっと思いついた限りCynicやObscura,Beyond Creationとか)。
一方で、途中途中Lofiっぽいトラックがあったりと、曲ごとの幅は広い。
こんだけ弾けたら普通のメタルバンドじゃ満足しないよなといった感じ。上記の所属してたバンドでも、所々面白いフレーズはあったけど全然目立ってなかったもんね。
メタルベーシストだけど、万人にお勧めできる面白いアルバムだと思う。
Nova Collective-Further Side(2017)
こんにちは
今回は、Nova Collectiveというプログレッシブインストメタル(?)バンドの1stアルバムです。
全6曲入り47分のアルバム。プログレだと普通ですね。
アルバムはこれ一枚ですが、大手メタルレコード会社のMetal Blade Recordsからリリースされています。
ギタリストがBetween the Buried and Meのメンバーということで知ったと思います。Between the Buried and Me知らない人からするとなんのこっちゃという感じですが、割と大御所のプログレッシブデスメタルバンドです。
つい最近Sumerian Recordsと契約したはずなので、PeripheryとかAnimals as LeadersとかそこらへんのDjent系プログレメタル好きな人にもお勧めできると思います。サウンドはDjentじゃないけど、デスメタル然としていないし、プログレッシブな構成には共通項があるので、聞きやすい(気がする…)
他のメンバーはHAKENというバンド所属だったり(未聴でした……)、ドラムがCynic(大好き!!!!)だったり、と大物を集めてできたプロジェクトのようです。
ということで、僕的にはBetween the Buried and MeやCynic的なプログレですサウンドを期待して、聞き始めましたが、、、
蓋を開けてみたら、全然メタルじゃなかったです。フュージョンやジャズ要素強めで、所々メタルの要素が強いモダンなプログレでしたね。
1曲目は、オルガンが特徴的なイントロから始まる、いきなり9分の大作。最初の方は割とメタルっぽいですね。この曲が一番お気に入り。
4曲目もイントロのキーボードが特徴的。こういうイントロに弱い。ギターもメタルっぽくてかっこいいです。
BTBAMと違って、ベースがファットで厚みがあって聞きごたえがあるのもポイント高いです。
Between the Buried and Me期待してたので肩透かしを食らいましたが、モダンなサウンドのプログレでかなり聞きやすかったです。ドラマティックな展開も豊富で、47分も割と一瞬でしたね。
メタラー以外にもお勧めできるアルバムです。
http://sin23ou.heavy.jp/?p=9032
Marunouchi Muzik Magazineから日本語インタビューが出ているので、こちらもぜひ。